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第二回:「黒ひげ危機一髪理論」

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つい先日、久しぶりに実家に帰った時の話です。地元の友人達とお酒を酌み交わしながら麻雀をする機会がありました。ちなみに友人達が麻雀をする頻度は年に1~2回程度だという。

友人「リーチ!!ねぇねえ?プロなら何待ちかわかるものなのでしょ?」
僕「そんなのわからんわー。それより早よツモって」
友人「えー?わかんないのぉ?プロのくせにぃ?」
僕「待ち牌が何かなんていちいち考えないよねー。それより早よ切って」
友人「じゃあ何を考えるの?捨て牌を読んだりしないの?」
僕「読むといっても待ち牌を当てることなんじゃないんだよねー。それより早よ・・」
友人「えー?1点読みとかできないのぉ??」
僕「うっさいわ!!まだ東場なのに、もう1時間過ぎとんのじゃ!早よ!」

・・・・こういうのはよーくある会話ですね。今回は「手牌読み」に対する誤解を解くためコラムを書きたいと思います。

ここに8個のシュークリームがあります。内7個は、ふつうのシュークリーム。これが「当たり」内1個は、わさびがたっぷり入ったシュークリーム。これが「ハズレ」です。

8人でそれぞれ1個ずつ食べましょう。それでは1個ずつ手にとって下さい。この瞬間「ハズレ」を食べる人はもう決定しています。しかし食べてみるまで「ハズレ」が誰なのかわかりません。「シュレーディンガーの猫」に習って「木原浩一のシュークリーム」としましょう。

既に「ハズレ」を食べる人は決まっているのに、実際に食べる前は全員に「ハズレ」を食べる可能性がある状態です。「当たり」:「ハズレ」=7:1 の重なり合った状態ともいえるでしょう。

さて、右側の人から順番に食べてみましょうか。最初の1人が食べました。「うん!おいしぃ~♪」む、どうやら「当たり」を引いたようですね。この時点で次の人が「ハズレ」を食べてしまう確率は1/7です。「ハズレ」を食べる人はもう決まっているのに、他の人が「当たり」を食べるたびに、次の人が「ハズレ」を食べる可能性が高まっていくと考えられるのです。

これを麻雀に置き換えて考えましょう。リーチが入りました。リーチが入った瞬間相手の待ち牌は決まっています。でも何が待ち牌かは、リーチ者の牌姿を観測するまでわかりません。

「当り」=放銃しない。「ハズレ」=放銃する。
麻雀の場合はそういうことですね。このシステムをよく理解せずに
「なんで他の人の無筋は通って、俺の時だけ放銃になるの??」
と文句を言う人がいます。確かに放銃は不運なことですが、他の人が無筋を通せば通すほど、あなたが切りたい無筋の「ハズレ」確率、つまり放銃してしまう可能性が高まっていくとも考えられるのです。

これが「黒ひげ危機一髪理論」です。ナイフを刺せば刺すほど、次のナイフを刺す時に黒ひげは飛び出しやすくなります。リーチに対して無筋が通されれば通されるほど、次の無筋を打てば放銃しやすくなるのです。

相手の手牌を読んで待ち牌を当てるのではなく、捨て牌や切り出し等の情報から、放銃してしまう可能性を推測すること。これが「手牌読み」なのです。


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